修道院便り2010年
点字楽譜お玉杓子、ありがとう! Sr.金井 玉枝
今年の2月四国の松山から1冊の点字の本が届きました。本のタイトルは「日本聖公会聖歌集」で全14 巻中第一巻目でした。
修道院の聖務で歌う適当な新しい讃美歌を探していたので、私はそれを主からの贈り物としてありがたく受け取りました。本には手紙が添えられていて、この聖歌集を点字出版された「お玉杓子」の発起人でその方の履歴が書かれていました。
彼は、私の母校「教育大学附属盲学校」特設教員養成部音楽家を卒業し、出身校で音楽を教える傍ら、障害者のための幅広いボランティア活動を手がけてこられた同窓生でした。その方が、私もずっとお世話になっている点字楽譜普及会「トニカ」の発起人で今は引退されたMさんからの依頼で、聖歌集を私に送るようにと費用も出してくださったそうです。早速午後の自由時間に応接間のピアノにむかい点字楽譜を探りながらメロディーを弾いてみました。
毎月修道院に音楽を教えに来てくださる藤岡さんにそのことを話すと彼は分厚い活字の聖歌集をかついできて、点字聖歌集第一巻に集録されている47版中42番を選んでピアノでひいてくださいました。この42 版は伴奏譜にはなっていませんでしたがその旋律の美しさに引き込まれてピアノでも伴奏してみたくなりました。
藤岡さんからの個人レッスンで、歌の旋律の4パートを見て、ソプラノ、アルトを右手で引き、テナー、バスを左手で弾くのが伴奏の弾き方だと聞きました。音域が広く、荘重な音の響きを醸す前奏が弾けて嬉しくなりました。そして3ヶ月かかって曲がりなりにも引けるようになった頃「歌のピアノ伴奏は私にはとてもできないけれど、何でこんなにこの曲を弾くのかしら?」と藤岡さんにお聞きすると「この曲の持つ力ですよ。」と言われ、なるほどと納得しました。この曲のギターの伴奏はずっと優しくこれならみんなに歌ってもらえると思い嬉しくなりました。
9月に入って間近に迫った院長の祝日の準備をしていた矢先、19日と24日に二人の姉妹が相次いで帰天し、喪に服す日々が押し寄せ、離別の寂しさ悲しさを抱きながら無我夢中で儀式を準備し、亡くなった姉妹たちを主のもとへと送り出しました。
院長の祝日の夕べ、私たちのうちには新たに歩み始める機運がわき起こり、最後に全員で輪になって、聖歌集42 番「主のみそばに」を歌い希望が心にわき上がってくる喜びを味わうことができました。
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