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     初 誓 願 


                       Sr.Maria・Gratia 佐々木あとみ


 小学校6年生の時、いとこから見せてもらった「アラベ
スク」というバレエまんがが大変気に入り、自分でもその
単行本を買い求め、何度となく読み返した時期があった。
 時は移り、2008 年5月私はここ白子の修道院へやって来
た。シスターたちと生活を始め、志願期を経て修練期2年
目の後半に入り、「アラベスク」のストーリーの一場面が思
い出された。

 バレエ公演の主役に抜擢された主人公ノンナ・ペトロワに、
師ユーリ・ミロノフが言う。「君は今、バレエという道の扉
を開いたところだ。永遠に続く苦しみの道なのだが、どこま
で歩いて行くかは君次第だ」ノンナは大きな両開きの扉をあ
け放っている。そのむこうには断崖絶壁の峡谷が延々と続い
ている。彼女は「どこまで・・・」とつぶやきながら遠くを
見つめる。

 当時20 代半ばであったまんがの著者 山岸凉子がどれほ
ど「道」というものを意識してこのことばを登場人物に言わ
せたかは定かでない。しかしこの師のことばは、永遠へのあ
こがれをしめすポーズ=アラベスクを美しく舞うノンナの姿
とともに私の心に残っていた。

 永遠の神、今生きておられる神は「白子へ来なさい」と私
に呼びかけた。十字架のイエス・ベネディクト修道会と出
会って18 年、主イエスの導きと皆の祈りにささえられ2011
年11 月1日、神と諸聖人のまえで初誓願。今、私は修道生
活の扉を開く、永遠のよろこびであるイエスにむかって。


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