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      さつまいも栽培記 


                                                    Sr.大場幸子

 昨年の5月、さつまいもの苗を植えるために、3坪程、土おこしをした。腰
ぬけの私の姿にみかねた神父さまが3分の1位掘ってくださったので、大助か
りだった。

 今年も4月はじめに同じ場所を掘り、中頃に、油かす、化成肥料を、そのあ
とで堆肥を入れて畝づくりをする。5月に入って通りの青果店に苗を注文する。
一束50本ベニアズマ。水につけてピンとさせるが、去年と比べて苗が細く弱よ
わしい。大丈夫かしら。お店番をした売れ残りかしら。70円も安く買えたけれ
ど等と思いながら、8日、改良船底植えで苗を植える。

この日のレクレイションの時に、シスター達に側を通ったら声をかけてくれる
ように頼む。シスター達は庭を散歩したとき寄ってくれて“大きくなってネ"
と声をかけてくれる。私も毎朝行って気を送る。苗を植えて20日後、朝日新聞
に“イモはなぜ種まきしない?”という記事があった。それによるとさつまい
もは、熱帯やその近くでは花が咲くが、日本では珍しいので、種は手に入りに
くい。それに、苗から育てたほうが沢山取れるということだった。さつまいも
の花を見たことがないわけがわかった。

 シスター達が目をむけていてくれたお陰で葉が一面に繁り、みごとだった。
今年は日照りが続いたので水やりに気をつかった。真夏に草取りを一回した。
そこで一つ発見したことがある。 よく耕された土の草取りは楽だということ。
踏みに踏まれたところの草取りは大変なことを。9月下旬、栴檀の木の下30p
位掘ってみる。全然おいもがみえない。やっぱり今年はだめなのか。少々気が
沈んでしまった。それから数日してシスター達にうながされて掘り始める。
すると紅色の頭が出てくる。出てくる。まわりの土を指でよけながら、1つ〜
とり出す。できた、すごい! 
再会したような気持ちになってうれしさと喜びで掘り続ける。

 出てくるおいもは泥だらけだけど、紅色がさえて輝いている。美しい!ある
ものは一杯機嫌のひとのよう、あるものは角隠しの花嫁さんの紅潮顔のよう、
大きく太いのはお相撲さん、汗にまみれて奉仕や部活に励む青年達だったり、
列車の中で出会ったお母さんに抱かれた赤ちゃんのようにかわいいのや、胎か
ら出た赤ちゃんのようであったりで、1つ〜さまざまな思いをしながら、楽し
いいも掘りをした。シスター達に収穫物を見せると「すごいねー。」「よく出
来たわねー。」と言われて、私の顔はおいものようにホク〜になる。一番大き
いものは長さ30p、約1K(泥つきで)。全部で30K余り出来た。
そのうちのいくらかは、被害にもあって、カメ虫が穴から出てきたり、コガネ
ムシの幼虫に傷つけられたものがあった。

 大変だけれど土に触れていることはいい。心が落ち着くし、大地に立ってい
る感じがする。それに、さつまいも掘りは楽しい。植えつけからちょうど5カ
月目に収穫。


農夫は、秋の雨と春の雨が降るまで忍耐しながら、大地の尊い実りを待つ。
                                                       ( ヤコブ5.7 )


 一週間後、お礼肥えをすませた。ホク〜のおいもをほおばりながら、
  来年はきゅうりにしようかな、絹さやにしようかな、夢はふくらむ。

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