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12. 十字架につけられたイエス

Sr.Maria Gratia 佐々木あとみ 


 あれはいつのことだったろう。祈りの中で観た幻。
十字架が3本立っている。まんなかにはイエス、左右には2人の盗賊。
突然場面は変わり、見たことのない風景。
まわりの雑踏、灼熱に舞い上がる砂ぼこり。日本ではない中近東のような…。
そして私は身体が痛い。体はこわばり腕はもがれるようだ。
私は十字架につけられている。

 それよりずっと以前、洗礼を受けて直後のころ。
信仰の先輩がひとこと、
「あなた十字架につけられたみたいだね。《
その当時は、この意味がさっぱり解らなかった。
永遠の神の存在を知り、洗礼を受けたそのころは、
ただ「ああ、これでいつ死んでも天国へ行けるんだー。《と思ったぐらい。
確かに世界は広げられ救いの業は始まっていたのだが。

 本修道会の吊称「十字架のイエス・ベネディクト修道会《は、本部のあるフランスのことばでは"Bénédictines des Soeurs de Jésus Crucifié"となる。 「十字架のイエス《と呼ばれている部分は直訳すると、「十字架につけられたイエス《となる。
本会の精神は、日々このイエスを観想し、礼拝し、讃美する。 これが全世界のすべての人のあがないと救いに導かれると信じて。
アーメン・アレルヤ!

 そうだ。私は十字架につけられている、
十字架につけられ死んで復活されたイエスの苦しみの欠けたところをおぎなうものとして。 
今、苦しんでおられるイエスと一致して十字架につけられている。
身体を動かしもがけば、それだけ痛みが増す。
だから私はもう身動きしない。
ほふり場に引かれていく子羊のように、
ただ沈黙し、「アッバ《と祈る。
十字架につけられたイエスと共に、
ただ御父のみ旨の中に、その大きな大きな手、永遠なるふところの内に…。


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