土地は私たちと共に生きている。人々の捧げた祈り、誕生、喜び、死、涙、
流された血・・・土地は全てを知っている。そこを歩いた人、牛、馬、そこで
生きた人の人生を。ある日、とある場所へ行った時、「ここは何か違う」と感
じた。整備された街並、でも歴史を感じられない。その土地と出会えない。
生活の匂いのしない土地。不思議な土地。不思議な体験。
しばらくして、その土地は海を埋め立てて人が造った土地だと知った。
素朴な疑問が頭を過ぎった。
「この土地の厚みはどのくらいあるのでしょう?」
埋め立て工事の時、海はどれほど汚されたでしょう。
海中の小さな生き物はたくさん犠牲になったでしょう。
彼等は叫び声を上げたことでしょう。
その叫びは誰の耳にも届かなかったのでしょうか?
もしその叫びを聴くことのできた人がいたら心を痛めたことでしょう。
日常生活で、「これを行うことは皆にとって良いこと」と行動に移す時、
「それをすることは本当に必要かな?」という私の内の小さな声、まわりの
人々の声を私は聴き落としていないでしょうか? 聴こうとしない私もいるの
ではないでしょうか? でも、御父はすべての事を聴いて下さっています。
今、御父に創られた全てのものが、お互いを聴きあい、命を大切にしあい、
許しあい、助け合って生きていきたいです。御父と共に、喜びの内に。
響 き あ う 心
夕食のお皿洗いを終えようとする時でした。
「食器をゆすいだこのお湯で、最後に流しを洗うのですよ。」
と生活体験者の方に申しますと彼女は言いました。
「お湯は喜んでいますね。」
私の心はポッと温かくなりました。最後まで役立ててもらえてうれしいお湯の
喜びを彼女の心は受け止めてあげていました。
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