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忘れていません      Sr. Maria Clara 原 理香



 入会する前にボランティアで東日本大震災の被災地、岩手県釜石に行きました。
何もかも流されてしまった大地と、深い心の傷を負った人々。疲労している現地
のスタッフと触れて、これから先も続けていく為には沢山の祈りが必要だと感じ、
また、その為に祈りたいと思いました。
(これは、私が祈りを使命とする隠世修道会に魅かれた理由の一つです。)

       

 釜石教会の一階にある交流場、「ふぃりあ」で出会った松本さん母娘をはじめ、
お母さん達の笑顔を、今でも祈りのうちに思い起こしています。
 そして、行きたかったけれど行けなかった福島。だからこそ、福島に留まって
居る人、家畜を守る為に苦しんでいる人、福島から東京や全国に避難した人々へ
・・離れ離れになった母子、また父子・・強い思いがあります。

 白子修道院ではローソクを作りがあり、私はお手伝いで、そのローソクに絵を
描いています。
 今年の夏、合同修練でご一緒した活動会のシスターから、
「福島の子供たちに、シスターの会のローソクをプレゼントしたら、とってもき
れい!と子供達が喜んだのよ」
と教えて頂きました。
それを聞いて、胸が熱くなりました。本当に嬉しかった!!
ささやかですが、福島の子供達が笑顔になれるお手伝いが出来たからです。

 昭和20 年、敗戦後、「国破れて、山河在り」という諺が流行ったそうですが、
人の心を癒し、体を養う、人が生きていく為の土や水、空気が汚れ失われてしま
ったら、どこに穏やかな暮らしを営む、真の復興を築くことが出来るでしょうか。
人間も、また自然の一部なのですから。
 里山、あるいは海を資本に生きようという活動が盛んになってきている今、原
発に頼らないで、科学が安全に用いられ、日本の自然が守られますようにと願い
ます。

 最後に、これを読まれるすべての方へ
 どんな暗闇の中に居ても、どうか生きていてください。
神様は、なんの理由もなく、ただ、あなたがあなただから、愛しています。
いつか、小さな光がローソクの火のように心に灯りますよう、祈り、献げ続けます。