今年の夏、蓮根の実家から弟と娘の知花が車で修道院へ会 いに来てくれました。妹も便乗していて喜びの再会となりま した。 家族の話題が一段落したころ、妹が一枚の名刺を私に手渡 しながら「玉枝ちゃんの家庭教師だったKさんが蓮根のお店 に買い物に来て『これを玉枝さんに渡してください』と言っ て名刺を置いて行かれた」というのです。 その名刺には点字でもお名前が書かれてありました。私の ことを覚えていてくださった、そのKさんのことがよみがえ ってきました。 当時、進学コースをえらんだ私はご近所の学生さんで東大 の一浪だったKさんに家庭教師をしていただきました。 数学の座標軸や放物線の方程式を私が点字で書いて読むと 聞き分けてくださいました。数学が好きだったせいかとても 楽しいひと時でした。 あのころは、パソコンもなかった時代で活字を書くことができない私が解く方程式をK さんはじっと聞きながら私が理解できるように教えてくださいました。優秀な方だったの です。 その名刺にはKさんの肩書が羅列されており、現在は特殊教育に従事しておられること が推測されました。私はますます興味がわいてきて、私の略歴を書いたお礼のはがきを送 りました。 盲学校の温床時代に受けた教育の数々が思い起こされ、そのおかげで自立できることを 思い深く感謝しています。 神の摂理に運ばれて大学ではキリスト教に出会い、修道召命を生きている私はイエス・ キリストを伝えなければなりません。イエスと共に生きる、すなわち何でもイエスにお願 いして生きることによってイエスを生きることになるのです。 そのことは、イエス・キリストが望んでおられることなのです。 |