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この夏に思うこと

Sr.Maria 光恵(佐久間光恵)

 地球が、燃えたぎっていると思わせる夏が過ぎ、やっと深い息がつける時がきました。2018年も残すところ3ヶ月。
 ああ〜過ぎた日々、私は何をしたのか!?“暑 かった”という記憶だけが強烈です。
年の黙想の内観の時、西日が照りつける窓から外を見つめていた。抜けるよう な青い空に、強い風が吹き巻き、木が激しく揺れている。
「火事の時、炎の熱が風 を巻きおこす。」と言う、父の声が響いてきた。
地球から立ち上る熱が、来る日も 来る日も熱風を巻き起こしているのを私も感じた。ある木は葉を落とし、草も野菜 も萎れて首をたれ命が干涸びている。

 知っての通り、異常気象は加速度を増して進んでいる。修道院を一歩出ると畑をつぶしてソーラーパネルがいたるところに犇(ひしめ)いている。地球が悲鳴をあ げて叫んでいるのが聞こえる。“やめて!…やめて!…パンクしそう。これ以上私はできない。力を使い果たした。
”ああーこれは、私達人間の仕業です。止まる事を知らない合理主義、便利さ、快適、豊かさの欲求の裏側に何があるのか?
そこから抜け出せない深い闇。私達は、自然の秩序と営みを傷つけてきました。 今、その結果が自分達に降り掛かってきています。暑いから、寒いからと言ってエ アコンをかける。更に地球は熱くなる。耐え難いからまた更に強くして使う。この イタチごっこ! 私もその一人です。人は無知と欲望から世の終わりを自ら招こう としているのだろうか。一番の絶滅危惧種は、人かもしれない。

 待ち望んでいた雨が地を潤した時、物陰に潜んでいた小さな小さな青蛙が、ピ ョン、ピョンと飛び出して来た。思わず「よかった!生きていた!ありがとう」と叫んでしまった。
なんとけな気で可愛いこと…。自然に適応する知恵を備えて生き延びる命の強さ素晴らしさよ。
草花をながめても、炎暑、日照りの中にただ身を まかせ、あるものは死に、あるものは生き延び、あるがままに創造主を称え、命の 主に栄光を帰している。なんという知恵、なんという力。その中に命の源の現存を 感じる。
ああ…弱い私達人類を憐れみ、真理をみつめる心、あなたへの畏敬の心、謙虚な心、真の知恵を育んでください。
命あるすべてのものが、共に生きる平和を…。

この地球で、ひとつ、ひとつの命が、輝きますように。