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いつくしみ深く      Maria・Agnes 新美京子

 実家で過ごしていたとき、アルバムを見ていて気づきました。   よく自分を叱咤していたな・・   一人になるとそっと泣いていたな・・   自分の感受性を自分で守りきれなくて・・   そんなわたくしに、あなたはずっと寄り添ってくださっていたのですね、   ひととひととの出会いをとおして、   いつくしみ深く・・  何だかホッとしてしまって  最近は「ごめんなさい」「ありがとう」と、まえよりも素直に言えるように  なりました。   ぱさぱさに乾いてゆく心を、ひとのせいにはするな   みずから水やりを怠っておいて、   気難しくなってきたのを、友人のせいにはするな   しなやかさを失ったのはどちらなのか   苛立つのを、近親のせいにはするな   なにもかも下手だったのはわたくし     初心消えかかるのを、暮らしのせいにはするな   そもそもが、ひよわな志にすぎなかった   駄目なことの一切を、時代のせいにはするな   わずかに光る尊厳の放棄   自分の感受性くらい、自分で守れ ばかものよ            茨木のり子 『自分の感受性くらい』