Sr.金井 玉枝


*以下は Sr. 玉枝とのインタビューを編集したものです。
修道会に入会する前、私は明治学院大学の文学部で英文学を学んでいましたが、 卒業後すぐに修道生活に入ったのではなく、一年間、四谷の英会話学校に通ってい ました。朝、四谷の聖イグナチオ教会で御ミサにあずかって、それから学校に通う 毎日でした。その当時、上野毛の男子カルメル会で霊的指導を受けながら、召命の 下地を神様は準備してくださったのだと思います。本会の修道院は当時は岐阜県多 治見市にあり、入会前、聖週間の三日間の黙想、夏の一ヶ月の黙想を一度過ごしま した。最初に多治見に行った時は、代母であった友人が一緒に東京から東海道線を 下って多治見まで同伴してくれました。
修道院入会の許可をいただいて、喜びの内に入会の準備を整え、その時は妹が東 京駅まで見送りに来てくれました。1 月 4 日の寒い日でした。 私は修道院といえば上野毛の男子カルメル会しか知りませんでしたので、多治見 で生活をはじめて、ずいぶんカルメル会とは違うなあ、と思いました。カルメル会 の修道院はとても静かで音がしないんですが、こちらはやけにドタン・バタンと雑 音がするんですね。姉妹の皆さん、杖を使っている足の不自由な方や車椅子を使っ ておられる姉妹もおられ、いろんな音がするんです。にぎやかな修道院だなぁ、と 思いました

でも、姉妹の皆さんがとても優しく親切で、すごいなぁ、と。一番感銘を受けた のは何でもやらせてくれる、ということでした。どんなに障害を持っていても、ち ゃんと一人一人を尊重して手を出さないんです。だから、私にとってはとてもあり がたいでしたね。普通だったらすぐに手をだすでしょ。ご不自由でしょうからとか、 お手伝いしましょう、お困りでしょうから、とか言って。でも修道院では本人がや るのを尊重しているんです。私はそこが一番良かったと思うんです。その姉妹を尊 敬、尊重してるんですね。その姉妹ができる速度ややり方を尊重してるんです。も ちろん、共同体にとって迷惑になることはちゃんと言ってくれて、してはいけない ことは教えてくれました。そして共同体は明るくてね、いつも皆さんが優しいんで すねえ。あぁ、いい共同体だなと思いました。
 他で障がい者を受け入れる修道会はまず、ありませんよね。私の代母さんは深大 寺の女子カルメル会修道院に入会し、今は山口で院長を長年つとめています。でも カルメル会は視力障害者や身体障害者は受け入れていませんよね。私は修道生活を したかったので、本会に受け入れてもらってとても幸せです。その修道生活が今は もう 50 年近くになります。多治見に入会した当時のういういしさはもうなくなっ ていますが、主イエス・キリストへの奉献の心はまったく変わっていません。
私だけでなく、私の家族も安心しています。父は亡くなるまえに、お前はいい道 を選んだなぁ、と言ってくれました。この恵みの道を最後まで歩みつづけて行きた いと思っています。