Sr. 鈴木 喜代


私達は、被拘禁者更生支援ネットワーク “麦の会”の 紹介で、受刑者との文通を始めて 13 年になる。  現在、5 人の姉妹が関わり、私もその中の 1 人です。  私が最初に関わりを持った人は、中部日本で起こった 少年グループの攻防事件(当時 19 歳)で、服役中の 30 代の青年だった。事件の 根底にあったのは、家庭の貧困、親の離婚、路上に投げ出された彼の行きつく所 は不良グループの仲間になることだった。そして起こした事件、少年犯罪でもあ ったので大きな社会問題となったのだった。

 彼は服役中に一冊の本と出会った。“聖書”であった。むさぼるように読んだと 手紙の中にあった。  そこで大きな改心が起こり、180 度人生行路が変化したのである。被害者のた めの謝罪、自分のしたことが後に続かないことへの祈りなど、いつも便せん 7 枚 (規定されている)にぴっしり書き記されてあった。彼とは2年余り文通したが、 東日本大震災があった2011 年 3 月、死刑判決を受けたので、外部文通は遮断さ れ、特定の人だけが連絡を取り合っている。その中で“支える会”というのが出来、 そこから毎年末、動向を知らせてくれている。

 文通者とのやりとりについては、私たちは大体聴くことに徹しているので、 自分の感情や問いかけをあまりしない。また、内容を口外することはしない。問い と共に共感したことについて返事をしてゆくのです。

 ある人とは4年位、文通した。出所する時に自分は足に障害があるので、働き 口があるかと心配していたが、今どうしているか・・ 身元引受人が家族なので、 元気に再出発しただろう。

 又、20代の青年とは何度か文通したが、ある時自分から辞めたいと丁寧な手紙 をくれた。もしかしたら裁判のことか、あるいは突発的に何か起こったかは知ら ない。それはそれでいいのです。事情があったことだから。

 さて、ここで一番長く7年余り文通し、いつも7枚びっしり書き話題も豊富で、 今起こっている社会現象のことなど語ってくれて、私もいろいろ教わった。その 彼は、昨年末に10年の刑を終えて出所したはずだが、コロナ禍のことでもあり、 連絡がない。しかし身元引受人も決まっているといっていたし、家族も待ってい るので、元気に過ごしていると思うので安心している。この他に短い刑期でもや りとりをした人もいる。

 さて、ここで今年に入って突然、見覚えのある名前の手紙が届いた。この人とは、 2、3度文通した後、来なくなったが名前は覚えていた。10年余り前のことである。 手紙を読んでゆくと配られた修道院便りの中に私の名前があったので、懐かしく なって書いたとあり、「あの時は失礼しました。自分は未熟であったので、カッと なってしまって・・」と。ああ、そうだった、物品の依頼が来たので、簡単な文 通心得とそれは出来ないと返事をしたのだった。何はともあれ、嬉しく思ったの ですぐ返事を出した。

 このようにいろいろな人とので出会いがあるが、刑に服している中で少しでも 明るく希望を持って歩んでいけたらと、彼らのことを祈っている私達です